築100年近い家を守り続けた伯母の遺品整理

身寄りのない女性の遺品整理を自ら行った男性は、「自分たちですべてきれいにするのは本当に大変だった」と話します。何世代にもわたって受け継がれてきた家を整理したエピソードをご紹介します。
※実話をもとにしたフィクションです。

一人暮らしをしていた伯母が他界

昨年、私の伯母が他界した時、伯母宅の遺品整理を行いました。隣県に住んでいた伯母は、たまに遊びに行くと私の子どもを自分の孫のようにかわいがってくれました。

その伯母は持病で入院生活を経て逝去し、葬儀の後に家の片付けをすることとなりました。しかし伯母は生涯独身で子どもがいません。伯母の兄である私の父もすでに他界していて連絡を取っている親戚はほとんどいませんでした。それに、伯母の家は築100年近い古い家で、山奥の集落で市街地に出るまで車で30分以上はかかります。そのような古い家の遺品整理を申し出る親族は誰もおらず、生前お世話になったよしみもあって甥である私が遺品整理を申し出ました。

伯母は、私の曾祖母の代に建てられた昔ながらの家で、囲炉裏で火を起こしてお湯を沸かしたり、昔ながらの五右衛門風呂があったり、遺品整理を手伝ってくれた妻や子どもたちは、歴史資料館の中にいるようだと話していました。しかし、もう取り壊して土地を売却することになったので、まずは家の中の整理から始めなければならず、遺品整理にはかなり時間がかかりました。

遺品整理は床掃除からスタート

伯母が数か月間の入院生活で家の中はすっかり埃だらけになり、家の中にもかかわらず、砂埃や虫の死骸などがいくつも転がっていて妻と子どもたちは怖がってしまったため、はじめの床掃除や天井のクモの巣をとる作業は私の担当になりました。床が一通りきれいになってはじめて押し入れやタンスの遺品整理を始められました。

伯母は質素な暮らしをしていたものの、祖父母から受け継いだ古い家財道具が多数保管されていました。私の父が赤ちゃんだったころのモノクロの写真や、小学校の文集、結婚式の写真など、見たことのない思い出の品がたくさん見つかり、とても懐かしい気持ちになりました。また、曾祖母のものと思われる古い着物は、すでに傷んでいるものは破棄しましたが、きれいな状態で残っているものはリサイクルショップに売却しました。曽祖父が大切にしていた骨とう品や壁掛けなども古物商に鑑定を依頼し、すべて買い取ってもらいました。

そして、母屋からは戦前の新聞、雑誌など、歴史の教科書に載っているかのような古い史料まで見つかり、とても驚きました。歴史が好きな知人にこの話をしたとき、「どうして捨ててしまったんだ。もったいない」と言われたほどです。

古いものを大切にしながら、多くの物を持たず、質素な生活を続けていた伯母には頭が下がる思いです。自分自身、残された人の負担にならないよう、生前から自分の持ち物を整理できるようになりたいなと思いました。

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